今回は「パーソナリティ障害」(旧 人格障害)ってなに?を中心にパーソナリティ障害の疾病理解と、おもしろ事例、類型と特性を掘り下げていきたいと思います。
皆さん、「パーソナリティ障害」は御存知でしょうか。
昔は人格障害と言われていた病気なんですが、皆さんの身近にも潜んでいるかもしれません。←差別的に聞こえたらすみません。他意はないです(´Д⊂ヽ
最近で言うと、「パワハラ」や「セクハラ」などの「ハラスメント」の問題を引き起こす人は「パーソナリティ障害」っぽいなーっとニュースをみて感じている今日この頃です。
そして、神経・精神科医療に通院している皆さん...ひょっとしたら「パーソナリティ障害」の病名が知らぬ間に付いているかもしれません....(; ・`д・´)
↑制度上の問題もあるので、本当に他意はありません(´Д⊂ヽ
では、まず「パーソナリティ障害」ってなに?から、みていきましょう。
認知・思考・判断・行動の個人の特性により社会生活に失調をきたしている状態
がパーソナリティーは障害されていると考えていいかと思います。
より、細かい部分などもありますが、わかりやすさと、簡潔さに配慮し進めていきます。
↑本当に詳細にやっていくと1万ページとか超えちゃいます(´Д⊂ヽ
では、DSM-Ⅴによるパーソナリティ障害の全般的診断基準をみていきましょう。
A. その人の属する文化から期待されるものから著しく偏った、内的体験および行動の持続的様式。この様式は以下の領域の2つ(またはそれ以上)の領域に現れる。
(1)認知 (自己、他者、および出来事を知覚し解釈する仕方)
(2)感受性(情動反応の範囲、強さ、不安定、および適切さ)
(3)対人関係機能
(4)衝動の抑制
B. その持続的様式は柔軟性がなく、個人的および社会的状況の幅広い範囲に広がっている
C. その持続的様式が、臨床的に意味のある著しい苦痛または、社会的、職業的、または他の重要な領域における機能の障害を引き起こしている。
D. その様式は安定し、長時間続いており、その始まりは少なくとも青年期または成人期早期にまでさかのぼることができる。
E. その持続的様式は、他の精神疾患の表れ、またはその結果ではうまく説明されない。
F. その様式は安定し、物資(例:乱用薬物、医薬品)または他の医学的疾患(例:頭部外傷)の直接的な生理的作用によるものではない。
と、あります。
長かったですねー( ;∀;)皆さん疲れていませんか。
A.B.C.Dでは、パーソナリティ障害の要件を満たしているかどうか。
E.Fでは他の疾病ではないかの鑑別をしています。
パーソナリティ障害は、「症状の類似性から3つの郡」に分けられます
・A群 猜疑性、シゾイド、統合失調型パーソナリティ障害
特徴:奇妙で風変わりに見える
・B軍 反社会性、境界性、演技性、自己愛性パーソナリティ障害
特徴:演技的で、情緒的で、移り気に見える
・C軍 回避性、依存性、強迫性パーソナリティ障害
特徴:不安または恐怖を感じているように見える
と言う群に分類できます。
では、それぞれの「パーソナリティ障害」をみていきましょう
1.猜疑性パーソナリティ障害
特徴:他者の動機を悪意のあるものとして解釈すると言った不信と疑い深さを
十分な根拠もなく、自分を利用している、騙していると決めてかかり、警戒心を抱きます。他者の誠実さや信頼を不当に疑うことなどに、とらわれているため、他者との信頼関係や協力関係を築くことが困難です。
2.シゾイドパーソナリティ障害
特徴:社会的関係からの離脱、対人関係場面での情動表現の制限
他者と親密になりたいと思わず、他の人々と一緒にいることより、一人で過ごすことを好みます。
3.統合失調型パーソナリティ障害
特徴:親密な関係では急に緊張し落ち着いていられなくなること、そのような関係を築く能力が足りないこと、加えて認知的、知覚的歪曲と風変わりな行動
4.反社会性パーソナリティ障害
特徴:他者の権利を無視し侵害すること
精神病質や社会病質とよばれることがあり、法律的規範を破り、無責任な行動を繰り返します。
特徴:対人関係、自己像、感情などの不安定さや、著しい衝動性
見捨てられることに対して敏感で、そうなるのをなりふりかまわず避けようとします。他者を過剰に理想化したかと思うと同じ人物をこき下ろしたり、その対人関係は極端で不安定です。
6.演技性パーソナリティ障害
特徴:過度な情動性と人の注意を引こうとする
自分が注目の的になっていないと楽しくありません。そのため、不適切なほど性的な誘惑や挑発的な行動によって注目を集めようとします。
7.自己愛性パーソナリティ障害
特徴:空想や行動に認められる誇大性、賞賛されたいという欲求、共感の欠如
自らの能力や業績を過大に評価し誇大感をもち、際限のない成功や権力、美しさの空想にとらわれています。
8.回避性パーソナリティ障害
特徴:社会的抑制、不全感、否定的評価に対する過敏性
他者からの批判や非難を受けることや拒絶されるのを常に恐れていて、重要な対人関係場面であっても回避しがちです。
9.依存性パーソナリティ障害
特徴:面倒をみてもらいたいという過剰な欲求
依存欲求を向ける他者に対して、従属的でしがみつく行動をとり、その人から分離することに恐怖を抱きます。
10.強迫性パーソナリティ障害
特徴:秩序、完璧主義、精神および対人関係のコントロールにとらわれるあまり、柔軟性や開放性、効率性が犠牲になる
ものごとの細部や順序、形式にとらわれるあまり、締め切りに間に合わないなど肝心なことが達成できなかったりします。
はい、私なんか、すでに診断基準を満たしています。
しかも...複数(; ・`д・´)
「パーソナリティ障害」は、結構その辺を歩いている人もそうなんじゃないかなと思います。
ただし、社会的な失調を生じている、問題だと認識して医療機関に通院した時に「パーソナリティ障害」として、はじめて診断されます。
失調をきたしてない場合は問題ありません(; ・`д・´)
そして、神経・精神科を受診している皆さん、
読者の方でいたらすみません。
実は精神科では、通院患者にパーソナリティ障害の診断をつけていると言うことが起きているのです。
↑治療マニュアルなんです( ;∀;)
どういうことかと言うと、精神病の診断は単一的ではなく、多角的な視点から考察されると言うことなんです。例えばDSMでも多軸診断システムとして
第1軸:精神疾患 精神症状に影響している身体疾患も含めて記載
第3軸:一般身体疾患
第4軸:心理・社会的問題 ICD-CMコード
第5軸:GAF全体機能評価 WHODAS
と言うのがあります。
↑最新のDSM-Ⅴでは「多元的診断」となっています。
どういうことかと言うと例えば、通院患者さんに対して各疾患の連続体を想定して、各精神疾患やパーソナリティ障害などの重症度を「パーセント(%)表示」で示しているのです。
↑一人の患者さんを5軸から考察して複数の病名がついているケースがある、と言うことです。
つまり、神経・精神科に通院している人は高い確率でパーソナリティ障害も診断されている可能性が高いと言うことです。
しかし、日本の医療では「パーソナリティ障害」の薬物療法は原則、認められていません。
と、言うことは....(; ・`д・´)
主病名が「パーソナリティ障害」であっても薬物の処方を受けている方は違う病名を「主病名」とされているかもしれません。
とは言え、「パーソナリティ障害」の診断基準に当てはまる人は沢山います。
私もそうでーす(/ω\)
硬い話しばかりだったので、ここからは少し飛ばします(; ・`д・´)
要は「パーソナリティ障害」って個別特性が社会生活上に支障があるってことなんです。なので、社会的に問題なければ、問題ないんです...ホントかな(/ω\)
この辺りは、次回以降で掘り下げていけたらなと思います。
神経・精神科領域って本当に曖昧ですよね( ;∀;)
もしも、気を悪くされた方がいれば、お詫びさせて下さい。
本当に申し訳ございませんでした。
気を悪くされた方にも、気を悪くされていない方にも満足のいく神経・精神科医療が正しく行われることを願っています。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました(*^^*)